屋根塗装に用いられる塗料には、シリコンやフッ素など様々な種類があり、それぞれ耐用年数や機能、施工価格などが大きく異なります。
特に塗料の耐用年数は、屋根そのものの寿命やメンテナンス頻度に大きく影響するため、屋根塗装を行う際にはかならず理解しておくことが大切です。
本記事では、主要な屋根用塗料5種類の耐用年数をはじめとし、特徴や価格、選ぶときの注意点などを詳しく解説します。
塗料を最大限に長持ちさせるコツも紹介していますので、屋根塗装を検討している方や、自宅に適した塗料を探している方はぜひ最後までご覧ください。
【一覧表】屋根塗装に用いる塗料5種類の特徴・耐用年数
屋根塗装に使われる主な塗料には、「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「フッ素」「無機」の5種類があります。それぞれ異なる特徴・機能を備えており、それに伴い耐用年数や価格も大きく変わるため、目的や予算に合わせて適切な塗料を選ぶことが大切です。
下記の一覧表に、屋根用塗料5種類の耐用年数・平米単価をまとめました。ぜひ参考に、自宅に適した塗料を選んでみてください。
屋根塗料の種類 | 耐用年数 | 施工価格(平米単価) |
アクリル塗料 | 3〜7年 | 1,000〜1,800円/㎡ |
ウレタン塗料 | 6〜10年 | 1,800〜2,000円/㎡ |
シリコン塗料 | 8〜15年 | 2,000〜3,000円/㎡ |
フッ素塗料 | 15〜20年 | 3,800〜4,800円/㎡ |
無機塗料 | 20〜25年 | 5,000〜6,000円/㎡ |
以下からは、塗料ごとの特徴・性質や注意点などについて詳しく見ていきましょう。
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アクリル塗料【耐用年数3〜7年】
アクリル塗料は、色鮮やかな発色と豊富なカラーバリエーション、そして初期費用の安さが特徴的な塗料です。住宅用の塗料として一昔前までは主流でしたが、より高性能・高耐久な塗料が増えた現在では屋根や外壁の塗装に使われることは少なくなりました。
施工価格は1㎡あたり約1,000〜1,800円ともっとも安価であるものの、耐用年数は約3〜7年とかなり短く、短期間での再塗装が必要になります。外壁よりも紫外線や雨の影響を受けやすく、劣化が早い屋根の塗装にはあまり向いていません。
そのため、数年内に引っ越しや建て替えを検討している方など、最低限の塗装を短期間保てれば良い場合にのみおすすめです。
関連記事:アクリル塗料とは?メリット・デメリットと他の塗料との違いを解説
ウレタン塗料【耐用年数6〜10年】
ウレタン塗料は、優れた柔軟性を持ち、ひび割れや変形に強いのが特徴的な塗料です。複雑な形状の屋根でも場所を選ばず施工できることから、主に陸屋根やベランダなどの塗装に多く採用されています。
施工価格は1㎡あたり約1,800〜2,000円と比較的安いものの、耐用年数は約6〜10年とシリコンやフッ素塗料には大きく劣ります。また、色褪せや汚れが付きやすく、メンテナンスを怠ると10年経たないうちに再塗装が必要になる可能性が高いでしょう。
長期的な屋根の保護には向かないため、短期間保てれば良い場合や、複雑な形状の屋根でその他塗料が使用できない場合におすすめです。
関連記事:ウレタン塗料とは?メリット・デメリットと費用相場を解説
シリコン塗料【耐用年数8〜15年】
シリコン塗料は、高すぎない価格ながら十分な耐久性・機能性も備えた、バランスの良さが特徴的な塗料です。近年の外壁・屋根用塗料としてもっとも人気が高く、多くの戸建て住宅で採用されています。
施工価格は1㎡あたり約2,000〜3,000円、耐用年数は約8〜15年と、フッ素塗料よりも安く、ウレタン塗料よりも強いバランスの良さが魅力。また、防カビ・防藻・防汚性などの機能性に優れている点や、種類豊富な製品が開発されていて自宅に適した塗料や好みのカラーを見つけやすい点もうれしいポイントです。
そのため、価格が高すぎず耐久性も損なわないバランスの良い塗料を探している方や、どの塗料にするか迷っている方にはシリコン塗料を強くおすすめします。
関連記事:シリコン塗料のメリット・デメリットとは?耐用年数や他の塗料との違いを解説
フッ素塗料【耐用年数15〜20年】
フッ素塗料は、優れた耐候性や耐熱性で、美しい屋根を長く維持できる高耐久・高性能な塗料です。基本的に商業施設やビルなどの大型建造物の塗装に用いられますが、近年ではその耐久性の高さから、一般住宅の塗装でもシリコンと並んで高い人気を集めています。
耐用年数は約15~20年と長寿命になっており、常に紫外線や雨にさらされている屋根を長期間にわたって保護することが可能です。1㎡あたり約3,800〜4,800円と初期費用は高めですが、その分メンテナンスや塗り替え頻度が少なく済むため、将来的な手間やコストは大幅に削減できます。
フッ素塗料は、再塗装・メンテナンスの手間や費用を抑えたい方や、今後も長く住み続ける予定がある場合におすすめです。
関連記事:フッ素塗料の価格は?メリット・デメリットとおすすめメーカーを紹介
無機塗料【耐用年数20〜25年】
無機塗料は、フッ素樹脂(有機成分)にセラミックやケイ素などの無機成分を配合することで、フッ素塗料よりも一段階上の耐久性を実現した高耐久・高性能な塗料です。
耐用年数は約20〜25年と、その他塗料を圧倒する長さになっており、塗り替えやメンテナンスにかかる手間やコストを最小限に抑えられます。ただし耐久性が高い分、初期費用も1㎡あたり約5,000〜6,000円と非常に高価なため、採用する場合はオーバースペックでないかじっくり検討する必要があるでしょう。
無機塗料は、屋根塗装の予算に余裕があり、屋根の美観・機能をできるだけ長く維持したい方や、厳しい気象条件下にある地域にお住まいの方におすすめです。
関連記事:無機塗料を選ぶメリット・デメリットとは?耐用年数・費用相場も解説
【注意】屋根用塗料は屋根材・外壁塗装の耐用年数も考慮して選ぼう
屋根用塗料を選ぶ際には、塗料の耐用年数だけではなく「屋根材の耐用年数」や「外壁塗装の耐用年数」も考慮して選びましょう。
屋根材には、屋根用塗料と同じように寿命の目安となる耐用年数があります。主な屋根材の耐用年数は以下のとおりです。
たとえば、耐用年数が5年しか残っていない屋根に、耐用年数15〜20年以上の高耐久な塗料を使用しても、先に屋根材の寿命が来てしまうので明らかにオーバースペックです。屋根材の寿命に適した耐用年数の塗料を選ぶことで、施工費用を無駄にすることを避けられます。
関連記事:屋根材8種類の特徴まとめ!耐久性・費用相場とリフォームでの選び方を解説
また、屋根塗装は外壁塗装と同時に施工することで、別々に依頼するよりも費用を大幅に節約できます。塗装工事を依頼する手間や施工日数も削減可能なため、まさに一石三鳥です。
目先の初期費用や耐用年数だけに注目するのではなく、屋根材や外壁塗装の耐用年数と合わせて塗料を選ぶことで、効率的かつ経済的な塗装プランを立てられます。
屋根用塗料の耐用年数を最大限に延ばすコツ3選
ここまで、様々な屋根用塗料の耐用年数について見てきましたが、耐用年数は実験データなどを元にした目安の数字であり、実際の寿命を保証するものではありません。
たとえ長期間保つとされる高耐久な塗料であっても、周辺環境や気象条件、細かなメンテナンスの頻度によっては、耐用年数を待たずして再塗装が必要になる場合もあります。
そこで以下からは、屋根用塗料の耐用年数を最大限に延ばすための3つのコツを紹介します。
- 耐用年数の長い高耐久塗料を選ぶ
- 定期的な点検・メンテナンスを怠らない
- 信頼できる優良業者に施工を依頼する
上記3つのポイントを押さえて、長期的にコストパフォーマンスの良い屋根塗装を行いましょう。
耐用年数の長い高耐久塗料を選ぶ
前提として、屋根用塗料は種類によって耐用年数が大きく異なるため、耐用年数の長い高耐久塗料を選ぶことが大切です。
特にフッ素や無機はその他塗料に比べて耐久性に優れており、フッ素塗料は約15〜20年、無機塗料は約20〜25年と、長期間にわたって屋根を保護できます。
また、遮熱・断熱性や光触謀、ラジカル制御型などといった、紫外線や劣化に強い性質を持つ高性能塗料だとなお良いでしょう。
このような高耐久・高性能な塗料は総じて施工価格が高めですが、将来的なメンテナンスの手間やコストを考慮すると、初期投資する価値は十分にあると言えます。
定期的な点検・メンテナンスを怠らない
屋根塗装の寿命を長持ちさせるためには、定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。
屋根は常に紫外線や風雨にさらされており、外壁よりも劣化が進行しやすい場所です。どれだけ優れた塗料を使用していても、長く放置すればかならず劣化するため、大きな台風や地震後の目視点検、3〜5年に1度の業者点検はかならず行うようにしましょう。
なお、自分で目視点検をする際は、2階の窓や近所の高台など、滑落の心配がない安全な場所から点検してください。高所作業に慣れていない方が自分で屋根に登るのは大変危険なため、無理をせず業者に依頼するのも一つの手段です。
また、必要に応じて部分的な補修や塗装を行うことで、大規模な修理を避けることが可能です。こまめなメンテナンスが塗料の寿命を延ばし、屋根全体の耐久性向上にもつながります。
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信頼できる優良業者に施工を依頼する
屋根塗装の寿命を長持ちさせるためにもっとも重要なポイントは、信頼できる優良業者に施工を依頼することです。
どれだけ高耐久・高性能な塗料を選んでも、施工が適切でなければ期待通りの耐用年数・性能は発揮できません。
そのため、見積もりや施工実績、口コミ・評判などから、しっかりとした技術力や施工管理があるかどうかを見極め、より信頼できる優良業者に依頼することが重要です。
また、見積もり依頼や打ち合わせ時の誠実さや、アフターフォロー・保証内容がしっかりしている業者であれば、施工完了後のトラブルにも十分な対応が期待できます。
施工業者は屋根塗装の品質や耐用年数に大きな影響を与えるため、目的や予算と相談しながらじっくりと慎重に選びましょう。
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屋根用塗料の耐用年数を理解して納得のいく施工を行おう
本記事では、主要な屋根用塗料5種類の耐用年数や価格、塗料を選ぶときの注意点や長持ちさせるコツなどを解説しました。
屋根用塗料は種類によって耐用年数や機能、施工価格などが大きく異なるため、目的や予算に応じて自宅に適した塗料を選ぶことが大切です。
最後にもう一度、塗料ごとの耐用年数および施工価格をおさらいしておきましょう。
屋根塗料の種類 | 耐用年数 | 施工価格(平米単価) |
アクリル塗料 | 3〜7年 | 1,000〜1,800円/㎡ |
ウレタン塗料 | 6〜10年 | 1,800〜2,000円/㎡ |
シリコン塗料 | 8〜15年 | 2,000〜3,000円/㎡ |
フッ素塗料 | 15〜20年 | 3,800〜4,800円/㎡ |
無機塗料 | 20〜25年 | 5,000〜6,000円/㎡ |
上記の耐用年数はあくまで目安です。周辺環境や気象条件、メンテナンス頻度によっては、耐用年数に満たないうちに再塗装が必要になるケースもあるため注意が必要です。
なお、屋根用塗料の性能は、適切な施工があってはじめて最大限に引き出せます。納得のいく高品質な塗装にするためにも、かならず3〜4社以上の複数業者で相見積もりを比較し、より信頼できる優良業者に施工を依頼しましょう。
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